神戸近郊・小川洋子作『ミーナの行進』の舞台 芦屋


『ミーナの行進』は、小説家小川洋子さんによる小説です。第42回谷崎潤一郎賞を受賞、さらに第4回本屋大賞で7位に入賞しました。『ミーナの行進』の舞台となっているのは、芦屋川支流の高座川沿いの大きな洋館。そこで過ごした朋子という中学校一年生の女の子の一年間をメインに描かれているお話です。小川さんが、執筆時に芦屋に住んでいたからでしょうか。作品のいたるところから、芦屋の街並みと雰囲気が伝わってきます。


この小説を読む前に、もしくは読んだ後に芦屋を訪れたなら、小説の面白さが倍増するのではないでしょうか?。


こちらでは、『ミーナの行進』の舞台となっている芦屋の紹介をしています。






芦屋・ミーナの行進の舞台を散策


『ミーナの行進』の舞台となっているのは、阪急芦屋川駅の北西、芦屋川支流高座川に沿って山を登った中腹、1500坪(!!!)の敷地に建てられたスパニッシュ洋式の洋館です。




阪急芦屋川駅の北口を出て、芦屋川に沿って上っていくと数分で小説に出てきた開森橋に到着します。



芦屋川支流の高座川沿い、開森橋の北西方向にミーナのお屋敷があります。詳しいことは知らないのですが、人から聞いたところによると、モデルとなったお屋敷は実は芦屋川でなく、東灘区にあったとか……。今はもうなくなっているそうです。



芦屋川支流の高座川には人気の癒しのスポット・「高座の滝(こうざのたき)」があります。高さが約10mという小さな滝なのですが、地元ではとても有名です。小説には出てこないのですが、比較的気軽に行くことができる滝ですので、芦屋に訪れる際には是非足を運んでみてください。






「一番家に近く、通学の負担の少ないという理由でY小学校が選ばれた。そこまでなら、途中芦屋川に架かる開森橋を渡って、あるいて二十分くらいの距離だった。ただ問題なのは、急な坂道だった。」
この急な坂道というのが、芦屋川に架かる開森橋を渡ってすぐにあるライト坂のことだと思います。



実際に上ってみると結構急な坂道であることがわかります。ポチ子に乗ったミーナを想像しながら登ると結構楽しく登れるから不思議です。



坂を登っていくと左方面に学校らしい建物が見えてきました。Y小学校ですね。



しかし、ライト坂を登っても、校門は見えません。



校門から学校へ入るには、回り道をして、住宅街の細い道を入って行かなくてはなりません。



ミーナの通った小学校。Y小学校に到着です。歩いてみるとわかるのですが、確かに体の弱いミーナに歩かせるのは心配になる距離と坂道でした。




朋子がミーナのために本を借りていた芦屋図書館へ向かいます。バスでも行けるのですが、私は、芦屋川沿いを下りながら歩いて向かいました。



業平橋に到着です。業平橋から芦屋川を離れ、東に向かって5分ほど歩きました。



朋子が通った芦屋市立図書館に到着しました。「打出天神社の向かいにある図書館は、石造りの重厚な建物だった。」小説の通りの建物。ヨーロッパの古いお城を思わせます。


静かな住宅街にありますが、建物が特徴的なので目立ちますね。明治中期から後期にかけて建築された、イタリアルネサンスのパラッツオ風の重厚な外観をもつ建物で、平成20年に「国の登録有形文化財」に登録されています。



「立派な樹木に囲まれ、蔓草が壁面を這い、古めかしい両開きの扉には中国風の飾りがはめ込まれていた。」朋子がとっくりさんと出会った場所ですね。当時は芦屋市立図書館だったそうですが、今は「打出分室」になっています。


【打出分室】
住所:芦屋市打出小槌町15番9号
電話番号: 0797-38-7220
開館時間:月曜日,水曜日~土曜日/ 午前10時~午後5時


アンリ・シャルパンティエ/ミーナの好物のマドレーヌと世界一売れているフィナンシェ



小説で出てくる芦屋で一番おいしいAという洋菓子屋さんは、”アンリ・シャルパンティエ”です。正しい表記は”HENRI CHARPENTIER”。地元の芦屋や神戸では、”アンリさん”という名前で呼ばれていたりします。




小説にも出てきたミーナと米田さんの好物のマドレーヌ(写真右側)は、1969年の創業時から人気のお菓子です。私もプレゼントやお土産として購入させていただいています。



アンリのフィナンシェは、年間販売個数において世界一売れているフィナンシェとしてギネス世界記録に6年連続で認定され、同カテゴリーにおけるギネス世界記録6年連覇は世界初、という記録を樹立しているそうです!!



”アンリ・シャルパンティエ”の本店は、ミーナの住んでいる阪急芦屋川駅ではなく、阪神芦屋駅の近くにあります。阪神芦屋駅は、阪急芦屋川駅から業平さくら通りを15分くらい下ったところです。



アンリ・シャルパンティエ本店では、おじさんおススメの”クレープ・シュゼット”が食べられます。定番も捨てがたいですが、クレープ・シュゼットの季節のフルーツ+バニラアイス添えもおすすめです。





小林洋子作『ミーナの行進』など 読後の感想を紹介


『ミーナの行進』の舞台となっているのは、芦屋川支流の高座川沿いの大きな洋館。そこで過ごした朋子の一年間が描かれています。


主人公の朋子は、12歳の女の子です。家族の事情でもともと住んでいた岡山を離れ、芦屋のお屋敷で叔母夫婦たちと暮らすようになり、叔母夫婦の子供、従妹のミーナと出会います。ミーナは、”肌は透明な薄紙のように白く”そして、”女の子なら誰もが、こんなふうにありたいと願うような美少女”ですが、体が弱く…。


と、ここまで聞くと『アルプスの少女ハイジ』や『秘密の花園』、『赤毛のアン』などと背景が重なるようにも思えますが、『ミーナの行進』の世界観はこういった従来の物語とは異なります。


ミーナは、好奇心が強く想像力も豊かで、優しくて明るい女の子で……と通り一辺倒の言葉で表現してしまうとミーナが”いかにも物語にでてきそうな女の子”になってしまって、どうしてもミーナの魅力を伝えきることができません。ミーナは、どんな小説でもどんな物語にもこんな女の子出てきたことがない、会ったことがないという世界にたった一人だけの魅力的な女の子です。是非、小説を読んで本当のミーナに会ってみてくださいね。


物語は、『窓際のトットちゃん』のような自叙伝を思わせる優しくて楽しい日常を描いたストーリーですが、ちょっとだけヘンテコなおとぎ話と現実の狭間にいるような不思議な雰囲気を漂わせています。そして、その不思議な空間の中心にいるのがコビトカバのポチ子です。コビトカバはもちろんモノ言わぬ存在なのですが、時にさりげなく、登場人物たちを写す鏡のように彼らの気持ちを代弁してくれます。まるでお屋敷に住んでいる人たちを静かに見守る妖精のようにも思えます。


そして、この小説が素晴らしいのは、なんといっても作品中に溢れる描写の美しさ!!登場人物たちはもちろんですが、血の通ってない静物までとても生き生きとみずみずしく描かれていて、小説を読んだ後とと読む前では、自分自身が生まれかわったように、物を見る目ががらりと変わります。


『ミーナの行進』を読むと”世界がキラキラと輝く”新感覚が味わえます。私のつたない表現では伝えきることができないので、是非一度読んで体験してみてくださいね。


小川洋子さんは、もともと小説好きの人には人気のあった作家さんですが、ファンがぐっと増えたきっかけは、『博士の愛した数式』ではないでしょうか。こちらは、読売文学賞、本屋大賞を受賞し、ベストセラーとなりました。さらに、寺尾聰さんと深津絵里さん主演で映画化もされました。


『博士の愛した数式』が好きだという方には、『ミーナの行進』もおススメです。





『ミーナの行進』の舞台芦屋周辺・神戸のメジャー観光スポットの紹介・リンク集


『ミーナの行進』の舞台芦屋の隣、神戸にはおススメ観光スポットがたくさんあります。是非メインの目的地としてお立ち寄りください!!

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「アンリ・シャルパンティエ」のフィナンシェがギネス世界記録6連覇を達成 | 公式HP