宮本輝・花の降る午後の舞台/神戸北野町


宮本輝さんは、数々の作品が映画化ドラマ化されているベストセラー作家。『泥の河』で太宰治賞を受賞してデビュー。その後、『螢川』で第78回芥川賞、『優駿』で第21回吉川英治文学賞、『約束の冬』で第54回芸術選奨文部科学大臣賞文学部門 『骸骨ビルの庭』で第13回司馬遼太郎賞など数々の文学賞を受賞しています。


実は、宮本輝さんは神戸市出身の作家。いくつかの作品で神戸が舞台となっています。作品を読んだ後で神戸の街を訪れたら、作者や登場人物の心情をより一層身近に感じられるかもしれません。


こちらでは、小説『花の降る午後』を読んだ感想やその舞台となった神戸北野町を紹介しています。




宮本輝 花の降る午後の舞台/神戸北野町


小説のメイン舞台となっているフランス料理店”アヴィニョン”は、小説にも登場した新幹線新神戸駅の西側、神戸北野町にあります。




『花の降る午後』の舞台である神戸北野は神戸の山の手に位置しており、北野から神戸港の眺めは最高!さらに、神戸開港後、外国人設計士が建てた数多くの異人館が今でも美しい姿で残されています。



異人館が立ち並ぶ異国情緒豊かな雰囲気が港町神戸のイメージとよく合うことから、神戸観光といえば、北野異人館街めぐりははずせないと言われるほど、有名な観光スポットにもなっています。



小説によると”北野坂から北野通りへと出て右折し、不動坂とつながる道をさらに上って行かなければならない。その道は車も通れる幅はあるが、二台がすれちがうだけの余裕はないので、タクシーの運転手の多くは、北野通りと不動坂との四つで車を停め、ここから上は歩いてくれと不愛想に言うのだった。”



北野坂、北野通り、不動坂は全て神戸北野の実在の地名ですが、小説の通りの場所には、それらしい料理店はないようでした。



が、この周辺でフランス料理店”アヴィニョン”らしい建物を発見しました!北野坂を登り、異人館通り(山本通り)を西に向かって歩けば、山手に見える白い壁に大きなテラスそして屋根には日本瓦をもった2階建ての建物があります。



明治41(1908)年に建てられた旧グラシアニ邸。フランス人貿易商グラシアニの自邸として建設されたコロニアルスタイルの西洋館です。



現在は、フレンチレストラン”La Maison de GRACIANI”として一般の人でも利用することができます。




ぜひ神戸北野を巡ってみてくださいね。


神戸北野 おすすめフレンチレストラン ラ メゾン ドゥ グラシアニ


神戸北野には、”アヴィニョン”のイメージにぴったりのフレンチレストラン”La Maison de GRACIANI”があります。



”La Maison de GRACIANI”の外観はもちろん、店内も白を基調とした家具や壁など”アヴィニョン”のイメージにぴったりです。



2階に続く階段もあります。小説では2階にはマダムの居住スペースがあったと記憶していますが、こちらでは2階はサロンとなっていました。


1階がメインダイニング、2階にはサロンと呼ばれるテーブル席と個室があります。



ラ メゾン ドゥ グラシアニで、フォアグラのパイ包みが食べられたら気分が盛り上がりそうですね。繊細で美味しい料理とお店の方の心配りで、口コミの評価は驚異の高評価4.80(2023年12月時点)となっています(La Maison de GRACIANIの口コミはこちら)。



メニューは季節や仕入状況にもよりに異なりますので詳細は、店舗へお問合せください。


”La Maison de GRACIANI”は駅からやや遠い上、道のりの坂は厳しいです。お車での場合は、店舗に駐車場はありませんので、周辺のコインパーキングを使う必要があります。が、それでもわざわざ足を運んで行く価値アリです。是非、ラ メゾン ドゥ グラシアニで”アヴィニョン”のマダムの気分に浸ってみてくださいね。









神戸出身のベストセラー作家・宮本輝と本を読んだ感想


私が初めて読んだ宮本輝さんの作品は、『泥の河』でした。


『泥の河』は、戦後の大阪が舞台となっています。作者は、終戦1945年の2年後に神戸市で生まれていますが、幼少期を大坂で過ごしています。 宮本輝さんは、自身の体験や経験を元にした作品が多いそうですが、こちらの作品も幼少期の体験をモチーフにしているそうです。


物語では、境遇の違う子ども同士の交流と寂しい別れが描かれています。子供らしい感性の共有と境遇の違いが生む感性の隔たり、何気ない日常の幸せとその裏にある不幸、子供を取り巻く大人の優しさや寂しさ後ろめたさ、狡さなど、、、いろいろなものがまぜこぜになっています。設定に加えて描写もリアルです。


子供ではどうしようもなく哀しく隔たっていくところは、魯迅の『故郷』をちょっと思い出しました。


子供が大人になっていく過程を描いたという感想もあるようで、確かにそういう部分もあるんだと思いますが、私の場合、作品を読み終わった後には、何とも言えないどんよりとした気持ちになりました。ヘドロが溜まりいやな臭いのあぶくが吹き上がる川”泥の河”に浮かぶ船で蟹を焼くシーンは忘れられません。


また、映画『泥の河』の方も、日本映画のオールタイムベストの上位に、必ずリストされる名作とのことです。


前置きが長くなりましたが、、、、、



『泥の河』の作者の作品か~ということで『花の降る午後』を手に取ったので、読む前はちょっと覚悟して読み始めたのですが、こちらは、『泥の河』とは違ってどちらかというとエンターテイメント性が強い作品です。作者はあとがきで、”善良で一生懸命生きた人に幸福が訪れなければ小説を読む値打ちはきっとない”と書かれていました。最初にあとがきから読んでいたら、そんなに身構えることもなかったかもしれません。ハッピーエンドが好きな方にはおススメの小説です。



『花の降る午後』の主人公は、33歳の若さで未亡人となった典子。夫の死後、神戸北野町にあるフランス料理店”アヴィニョン”を引き継ぎます。アヴィニョンの経営者として働きますが、4年後、夫の死の直前に志摩半島で買った絵の画家である青年が訪ねてきて……。ネタバレになるのでこの辺でやめておきますね。


神戸北野町にあるフランス料理店という華やかな舞台で、若い画家との恋などメロドラマの要素もあり、アヴィニョンを狙う者達から店を守るというサスペンスの要素もありで、例えるなら連続テレビドラマのような感じでとても楽しめます。調べてみたら新聞で連載されていたとのことで、納得してしまいました。


1989年にはNHKでテレビドラマ化され、神戸市政100周年記念で東宝が映画化をしています。



宮本輝さんの作品には神戸を舞台にした作品も多く、青春小説『青が散る』では阪神香櫨園駅が登場します。『錦繍』でも、阪神香櫨園駅近くの喫茶店が登場します。長編小説『流転の海』では、戦争で焼け野原となった神戸の街が復興する様子が描かれています。


興味を持たれた方は是非読んでみてくださいね。





『花の降る午後』の舞台周辺・神戸のメジャー観光スポットの紹介・リンク集


『花の降る午後』の舞台は神戸のメジャー観光スポットである神戸北野町です。周辺には、おススメ観光スポットがたくさんありますので、是非お立ち寄りください!!

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