火垂るの墓/映画聖地巡礼・神戸の舞台


『 火垂るの墓 』は、野坂昭如原作の短編小説です。戦火で親を亡くした14歳の兄と4歳の妹が二人で生き抜こうとする姿を描いた悲劇の物語で、神戸市と西宮市が舞台となっています。


1988年にスタジオジブリ制作・高畑勲監督の映画が公開され、話題になりました。『火垂るの墓』を見て涙が止まらなかったという方も多いのではないでしょうか?


こちらでは、アニメ映画『火垂るの墓』の舞台を紹介しています。




火垂るの墓/冒頭で登場するJR三ノ宮駅


JR三ノ宮駅が、映画『火垂るの墓』の舞台となっています。JRのみ三ノ宮駅、その他は三宮駅と表記されます。



映画の冒頭で兄清太が亡くなったシーンでJR三ノ宮駅が登場しました。清太が最期に凭れていた大きな円柱は、現在もあります。映画では、清太以外にも何人もの子供が亡くなっており、誰も清太を気に留める人もいませんでした。戦後のどさくさの中、誰も人のことを考えている余裕がなかったことがうかがえるシーンです。



耐震工事が施され、派手な宣伝が貼られた柱が並ぶ中、ちょっと古めかしい感じがする円柱も何本かあります。これは、意図的なものなのでしょうか。



JR三ノ宮駅から見た三宮の街です。三宮は神戸最大の繫華街で、神戸市最大のターミナル駅でもあり、JR、地下鉄、私鉄などが乗り入れています。このように三宮が発展したのは、第二次世界大戦後の高度成長期以降ということで、映画で見る三宮とは全く違う場所のようですね。



清太が持っていたドロップの缶を駅員が投げたのは駅前の草むらでしたが、今ではその面影はありません。




火垂るの墓/清太と節子が阪急電車に乗り込んだ神戸三宮駅


阪急神戸三宮駅が、映画『火垂るの墓』の舞台となっています。



JR三ノ宮駅の西隣にあるのが、阪急の神戸三宮駅です。三宮のランドマークとも言える超高層ビルで、上層階はホテルとなっています。



JR三ノ宮駅と阪急神戸三宮駅の間を通る道路の上は、高架化されています。映画では、こちらを阪急電車が走っているシーンが登場しています。様変わりしてしまった駅周辺ですが、少しだけ当時の面影が残っていました。



阪急電鉄が運営している鉄道事業は、明治時代開業。イメージカラーのマルーン(通称小豆色)は、開業以来の伝統色となっています。映画で出てくる電車そのものですね、



イメージカラーのマルーンとともに、車内の木目調の化粧板、ゴールデンオリーブ色の座席も阪急の上品なイメージの象徴となっています。



映画では、神戸三宮駅で、清太と節子が電車に乗りました。清太と節子は電車で西宮へ向かいながら、生前の神戸空襲の始まりを回想しています。






火垂るの墓/空襲の中、清太が節子と歩いた石屋川駅周辺・国の登録有形文化財御影公会堂


阪神線石屋川駅が、映画『火垂るの墓』の舞台となっています。この周辺は、神戸や大阪へのアクセスが便利ですが、駅前周辺には大きな商業ビルはなく、静かな川が流れ、六甲山が見渡せる自然豊かな環境の閑静な住宅地というイメージです。清太と節子の実家は石屋川の東側・御影にありました。



映画で登場した川の上の崩壊した建物が石屋川駅です。今も駅は川の上にあります。この川が灘区と東灘区の境界となっており、川沿いに遊歩道や公園が整備されています。



防空壕に入れなかった清太と節子は、公会堂の避難所を目指して石屋川沿いの土手を歩きました。



映画では、御影公会堂も登場しています。御影公会堂は、阪神石屋川駅から川沿いに北へ5分程度歩くと到着します。この裏で清太と節子は母親を待ちましたが、結局母親と出会えたのは救護所となってしまいました。


映画で、焼け野原の中に立つ御影公会堂の前を節子を背負った清太が歩くシーンが出てきますが、実際に、御影公会堂は、戦災で外壁を残し内部がほぼ全焼したそうです。戦災、震災を乗り越えた奇跡の「御影公会堂」は、国の登録有形文化財に登録されています。現在は、集会施設として利用されるほか、施設内にある御影公会堂食堂は、有名な老舗の洋食店として知られています。


昭和レトロな雰囲気の中、オムライス、ハヤシライス、オムハヤシ、エビフライ、ビフカツ、クリームソーダなどのメニューが並びます。






火垂るの墓/清太と節子が身を寄せた家がある夙川駅周辺と桜の名所夙川公園


阪急夙川(しゅくがわ)駅が、映画『火垂るの墓』の舞台となっています。 駅名にもなっている夙川の上に駅があります。



母を亡くした清太と節子は西宮のおばさんに引き取られることになりますが、そこに移動する際に降りた駅が夙川駅でした。夙川駅周辺は、阪神間の中でも屈指の高級住宅街として知られており、特に駅の北西は豪邸が立ち並んでいます。おばさんのお家は、駅北東の満池谷町にありました。



夙川の河川敷にある夙川公園には、桜がたくさん植えられています。桜の名所としても有名で、お花見の季節には大勢の人が押し寄せます。





火垂るの墓/清太と節子が遊びに来た海水浴場・御前浜(香櫨園浜)


西宮の満池谷にいるおばさんと暮らしていた時に、清太と節子が遊びにきた御前浜です。満池谷からは南に15~20分程度下って行ったところにあります。


「御前浜」は、阪神電車の香櫨園(こうろえん)駅から西宮駅まで続く砂浜です。平安時代は、「御前浜」と呼ばれていましたが、 阪神電鉄が海水浴場を開設して「香櫨園浜」と呼ばれるようになりました。清太と節子が遊びにきた当時は海水浴場でしたが、海水汚染のため海水浴場は1965(昭和40)年に閉鎖されてしまいました。


現在は、阪神間でも数少ない自然の浜が残っている場所として自然観察スポットとなっています。貝やカニ類、海浜植物などの生き物が観察できる他、冬の時期にはたくさんの渡り鳥を見ることができます。



公園内には、西宮砲台が保存されています。西宮砲台は、外国船の脅威に対処するため慶応2年(1866)江戸幕府が築造した軍事施設で、国の重要文化財に指定されています。



火垂るの墓/清太と節子が蛍と遊んだ防空壕があるニテコ池


残念ながら、清太と節子を引き取ってくれたおばさんとは、生活習慣や考え方の違いなどから折り合いが悪くなってしまいます。清太と節子はおばさんの家から出て、ニテコ池で二人で暮らし始めます。ニテコ池というのは西宮市の貯水池で、池の周辺は桜並木となっています。



ニテコ池は、おばさんが住んでいた満池谷から北へ5~6分程なだらかな坂を登っていったところにあります。清太と節子が蛍と遊んだ防空壕は今はありません。さらに、水の汚染のため、ホタルも姿を消してしまいました。



夙川沿いの環境を守りホタルの飛び交うきれいな川に戻そうとする運動が進み、現在は、ニテコ池から少し上流、苦楽園口駅の北側でホタルが確認できるようになっているそうです。




『火垂るの墓』の原作と映画


『火垂るの墓』は、1988年にスタジオジブリ制作・高畑勲監督の日本の映画が公開されました。一度見ると忘れられないほど衝撃を受ける作品で、戦災孤児が直面する厳しい現実が描かれています。 映画公開後、何度もテレビ放送がされたので、テレビで見たという方も多いのではないでしょうか。原作者も高畑勲監督自身も空襲に遭ったという経験があるためか描写もとてもリアルで、子供向けアニメとは思えません。


公開時は『 火垂るの墓 』と『となりのトトロ』の二本立てだったそうで、これほど違う映画を同時公開という事実を知って驚いたのは私だけではないと思います。『火垂るの墓』が14歳と4歳の兄妹に対して、『となりのトトロ』は12歳と4歳の姉妹。偶然なのか、あえてそうしたのかはわかりませんが、同時上映の良し悪しは別として、感情がかなり揺さぶられることだけは確かだと思います。


妹節子が映画で食べていたサクマ式ドロップスが再注目され、映画のデザインを再現したサクマ式ドロップス復刻版が佐久間製菓株式会社より発売されました。残念ながら、2023年にこちらの会社は廃業となっています。



『火垂るの墓 』は、神戸大空襲により自宅を失ったという著者自身の戦争体験をもとに描かれた、野坂昭如の短編小説で、同時期発表の『アメリカひじき』と共に第58回直木賞を受賞しました。戦火で親を亡くした14歳の兄と4歳の妹の儚い運命が蛍に象徴されています。





『火垂るの墓』の舞台周辺・神戸のメジャー観光スポット・リンク集


『火垂るの墓』の舞台周辺には神戸を代表する観光スポットがたくさんあります。是非メインの目的地としてお立ち寄りください!!

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